人事労務ニュース
人事労務ニュース

文書作成日:2025/06/10

見直しが濃厚となった大学生の健康保険の扶養年収基準

 健康保険は、従業員(被保険者)のみならず、一定範囲の家族についても被扶養者として保険給付を受けることができます。2025年の税制改正により所得税における扶養関連の見直しが行われたことに伴い、これに合わせるような形で、健康保険の被扶養者の範囲となる要件の一部が見直しされることが濃厚となったことから、以下ではその内容を確認しておきます。

[1]被扶養者の主な要件
 健康保険の被扶養者に該当するためには、日本国内に住所(住民票)を有しており、被保険者により主として生計を維持されていることという条件があります。また生計を維持されていると認められるには、以下の「収入要件」および「同居要件」を満たすことが必要です。

[収入要件]
 家族の年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は180万円未満)であること。また、従業員と家族が同居の場合には、家族の収入が従業員の収入の半分未満であり、従業員と家族が別居の場合には、家族の収入が従業員からの仕送り額未満であること。
[同居要件]

 同居  家族の範囲
 不要  配偶者、子ども、孫および兄弟姉妹、父母、祖父母などの直系尊属
 必要  同居不要の家族を除き従業員と3親等内の親族(おじおば、甥姪とその配偶者等)や内縁関係の配偶者の父母および子ども(※)の場合
※配偶者の死後、引き続き同居する場合を含む

[2]変更が予定される収入要件
 2025年の税制改正において、大学生のアルバイトの就業調整に対応することを目的とし、19歳以上23歳未満の大学生年代の子ども等について合計所得金額が85万円(給与収入150万円に相当)までは、その子どもの親等が特定扶養控除と同額の所得控除を受けられる仕組み(特定親族特別控除)が導入されることになりました。
 健康保険の被扶養者の収入要件についても、これに合わせるような形で、2025年10月1日から19歳以上23歳未満の家族(配偶者を除く)については、現状の年間収入130万円未満から150万円未満に引き上げられることが予定されています。なお、この取扱いは19歳以上23歳未満という年齢での判断であり、学生であるか否かは問われないものとなっています。

 この取り扱いについて、2025年6月10日現在、正式な公表はありませんが、従業員の関心の高いテーマになります。対象となる家族がいる従業員には、変更される見込みであることを早めに伝えておくとよいでしょう。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。




改正労働安全衛生法の成立と7月から始まる全国安全週間2025/06/03
腰痛の労災認定の考え方2025/05/27
不妊治療と仕事との両立の職場づくりマニュアルと助成金2025/05/20
厚生労働省による業種別カスタマーハラスメント対策の取組支援2025/05/13
6月より義務化される新たな熱中症対策2025/05/06
給与が「〇〇pay」等のデジタルで受け取れるようになる賃金のデジタル払い2025/04/29
割増賃金の基礎となる賃金と最低賃金の対象となる賃金の違い2025/04/22
2025年4月より短縮された雇用保険の基本手当を受給できるまでの給付制限期間2025/04/15
支給対象者の範囲や助成額が大幅変更となるキャリアアップ助成金2025/04/08
2025年度の雇用保険料率と賃金の考え方2025/04/01
4月に創設される育児時短就業給付金2025/03/25
3月分以降の協会けんぽの健康保険料率・介護保険料率2025/03/18
3歳未満の子を養育する従業員が利用できる年金額計算の特例2025/03/11
36協定を締結する際の注意点2025/03/04
4月から始まる出生後休業支援給付金2025/02/25